ABOUT Marmot
DEPARTURE 本当に満足できる装備を求めて
50年を超える私たちの長い冒険は、決して優等生とは言えない3人の若者によって幕を開けました。時は1960年代後半、アメリカではベトナム戦争への反発や社会不安などを背景に自然回帰のムーブメントが勃興。当時、カリフォルニア大学サンタクルーズ校に入学したデイヴィッド・ハントリーもまた強いアウトドア志向の持ち主であり、趣味のクライミングに熱中する生活を送っていました。’71年、この青年は退屈な授業から2ヶ月も逃れられる術としてアラスカでの氷河研究プロジェクトに参加します。そこで出会い、意気投合したのがエリック・レイノルズでした。彼らは調査から戻った後、山岳地帯に生息する社交的なリスの名を冠した登山サークル「マーモット・マウンテン・クラブ」を結成。ヨセミテをはじめとするビッグウォール登攀に何度も赴き、多くの時間をともにします。しかし、ひととおりのウェアやギアを揃える資金はなく、そもそも本当に満足できる製品も見当たらないことから、学生寮の部屋を工房にして自分たちで作ることにしたのです。懇意にしていた地元のアウトドアメーカーに協力を得てデザイン&パターンメイキング、縫製などの基本を学び、友人であったトーマス・ボイスを招き入れ、ベストやジャケット、パーカ、寝袋といったダウンアイテムを製作。これが仲間内で評判となったのを足掛かりに、大学を卒業した ’74年にMarmot Mountain Works社を設立(のちに Marmot へ改称)。アウトドアの盛んなコロラド州へと拠点を移し、工房を併設した最初のショップを開店させました。
BEGINNING 挑戦と先見性が生んだ数々の革新
それは創業してすぐのこと。トーマスが旅先で知り合った映画プロデューサーから連絡があり、“1週間以内に108着のダウンジャケットを用意してほしい”という急な発注が入ります。非常に無茶な依頼ではあったものの、彼らはビジネスチャンスと捉えて快諾。寝食を惜しんでデザインから生産まで行い、何とか期限に間に合わせてユニバーサル・シティ・スタジオへ納品したのです。「ゴールデン・マントル・パーカ」とネーミングされたそれは、名優クリント・イーストウッドが監督・主演を務めた ’75年公開の山岳アクションムービー『アイガー・サンクション』の劇中にて着用。この作品がキッカケとなり、新進気鋭のインディペンデントメーカーとして一躍ブランドの名を広めたのでした。
’76年には、まだ無名に近かったゴアテックスに目をつけて世界で初めてアウトドア用品に採用。寝袋を手始めに、翌年には世界で初めてダウンジャケットにも導入すると爆発的なヒットを呼び、勢いに乗って全米で一番の激戦区であるカリフォルニア州バークレーに2号店をオープンして成功を収めます。’79年になるとメンズサイズを縮小しただけではない、女性の体型に合わせて設計した業界初のウィメンズウェアを発表。さらに ’83年、今では広く根付いているウルトラライト(可能な限り装備を軽量化して登山に挑む)スタイルの源流となった「ライトパッキング」という概念と言葉を先んじて提唱しました。ほかにも、頭の動きに追従して視界を妨げない立体構造のフード、脇下のベンチレーション、手袋を装着したままでも袖口のフィットを調整できるベルクロテープのアジャスター、裾から冷気や粉雪が侵入するのを防ぐパウダースカートなど、のちにアウトドアアウターのスタンダードとなるさまざまなギミックを考案。またMarmotが当時販売していたゴアテックス素材のハードシェルは、’86年よりアメリカ軍に導入された寒冷地向けのレイヤリングシステム、ECWCS の象徴であるゴアテックスパーカのベースになったとされています。こうした数々の実績によって、ハイクオリティかつ機能に特化したメーカーという認知を早い時期から確立、現在にいたる揺るぎないポジションを築いたのです。
ANOTHER FIELDS 都市で選ばれた機能とデザイン
Marmotの活動範囲はアウトドアのフィールドだけにとどまりません。優れた機能性とシンプルで洗練されたデザインはファッションの分野でも支持されており、シーンを牽引するセレクトショップでも好評を博しています。ことに日本では ’90年代よりタウンユースにも浸透。影響力のあるアパレル関係者たちがこぞって取り入れ、従来の考えに縛られない自由なミックススタイルを楽しんだことからトレンドに敏感な人々に波及。以降、多くのファンに愛され、またストリートブランドなどのサンプリングソースとなることも少なくありません。
特にファッションの側面からトピックとなったのが、’82年デビューのダウンジャケット「マンモス・パーカ」です。これがニューヨークのストリートでフックアップされたのは2000年代のことでした。当時の定価で600ドル以上というハイプライスでありながら、圧倒的な防寒性とそれを生み出すボリューミーなフォルム、そして色鮮やかなカラーバリエーションが若者の心をキャッチ。ギャングやラッパーのステータスシンボルとなり、あまりの人気から品薄となったことで強奪や発砲事件まで発生したのです。この異常なほどの過熱を鎮静化させるため近年まで廃番としていたことから、今では伝説のモデルとして語られています。
FOR LIFE 生還するため、日々を彩るため
Marmotは「FOR LIFE=生還するため」のプロダクトを理念に掲げ、先進のマテリアルと技術を積極的に取り入れ、エポックメイキングな発想をカタチにし、アウトドア製品にいくつものイノベーションを起こしてきました。その結果、シビアな環境や条件下に身を投じるアルピニストやエリートクライマー、山岳ガイド、冒険家などから絶大な信頼を獲得。命の危険と隣り合わせで大自然と対峙するシリアスユーザーに最高のパフォーマンス エクイップメントを届けています。
そうしたノウハウを活かしたユニークな製品はファッションやデイリーウェアといったライフスタイルの文脈でも高く評価され、今日そのスローガンは「FOR LIFE=生活のため」を内包したダブルミーニングへと発展。すなわち、日々の暮らしを豊かに彩るワードローブとしても存在するなど、ブランドの世界観はいっそうの広がりを見せています。
私たちは既成概念にとらわれることなく、いかなるときもチャレンジを忘れません。そして冒険心に満ちた人々とともに歩み、常識を覆してきた異端児たちに選ばれてきた歴史が物語るように、まだ知らぬ景色や新しい自分との出会いを求めて進む探究者をリスペクトします。飽くなきエクスペディションは、これからも続くのです。
HISTORY of Marmot
- すべてが始まった出会い
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カリフォルニア大学サンタクルーズ校の学生、デイヴィッド・ハントリーとエリック・レイノルズがアラスカで出会う。社交的なリス科の動物から名付けた「マーモット・マウンテン・クラブ」を結成。
- プロトタイプに着手
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デイヴィッドとエリックはクライミング仲間のトム・ボイスを誘い、ダウン製品の試作をスタート。最初に手掛けたのは、ベストとジャケット、パーカ、スリーピングバックなど。
- 会社設立と1号店
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Marmot Mountain Works社(のちに Marmot へ改称)を設立。コロラド州グランドジャンクションに拠点を移し、工房を併設した最初のショップをオープン。
- 最初のヒット作
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クリント・イーストウッドの映画『アイガー・サンクション』にダウンジャケットを供給。翌年に公開され、劇中で着用された「ゴールデン・マントル・パーカ」が大ヒットするとともに、ブランドの知名度を高める。
- ゴアテックス革命
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世界で初めてアウトドア用品にゴアテックス素材を採用。試作したスリーピングバッグを食品用の冷凍倉庫に持ち込み、創業メンバー自らが数日間にわたって寝泊まりして性能テストを実施。続く'77年には、同じく世界初となるゴアテックスのダウンジャケットも発売。
- 業界初の女性用ウェア
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女性の体型に合わせて設計した業界初のウィメンズウェアを発表。以降、女性のアスリートや組織、活動を精力的にサポート。
- LIGHTER is BETTER
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革新的なデザインとマテリアルの組み合わせによって製品を軽量化するとともに、「ライトパッキング」という概念と言葉を提唱。
- エクスペディションスーツ
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8,000m級の高所登山に向けた「8,000メートル・パーカ」「8,000メートル・パンツ」をカタログに初掲載。スリーピングバッグのノウハウを応用したそれは“着る寝袋”の異名で讃えられた。
- 最強のアスリートが仲間に
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ビッグウォールクライマーとして名を馳せる日系人、ピート・タケダがチームに加入。以降、長年にわたって地球上の最も高く、最も寒い環境で製品のフィールドテストを担当。
- 独自のハイスペック素材
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ブランドオリジナルの防水透湿ファブリック「マーモット メンブレイン」を採用したレインギアのラインが登場。加えて、米国のアウトドア専門誌『バックパッカー』で賞に輝いた「デナリ・ジャケット」も発売。
- 現在まで続くマスターピース
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「マーモット メンブレン」を採用した「プレシップ・ジャケット」をリリース。以来20年以上にわたってブランド随一となる多くのアワードを受賞。
- 超軽量スリーピングバッグ
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超軽量で知られるガス式スリーピングバッグの第1弾「アトム」を発売。その後シリーズは「ハイドロゲン」「ヘリウム」へと受け継がれる。
- 環境への配慮を強化
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回収ペットボトルから再生されたポリエステル生地や、同じくリサイクル原料の断熱材を使用するなど、自然環境に配慮したスリーピングバッグを発売。これを筆頭に、サステナブルなアウトドア用品に早い時期から着手。
- 権威あるアワードを受賞
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外装にパーテックス クァンタムを、中綿にポーラテック アルファを採用した「アイソサーム・フーディ」が、世界最大級となるスポーツ用品の展示会『ISPO(イスポ)』で最高賞となる金賞を獲得。
- ダウンに代わる新たな中綿素材
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3M社との提携のもと、天然の羽毛を使用しない新たなフェザーレス インサレーションを開発。
- エコロジーな防水テクノロジー
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地球環境に配慮した生産背景とアップサイクル繊維を用いて先進的な防水性能を実現した「エヴォドライ コレクション」を発表。
- 辿り着いた比類なき保温力
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Marmot史上最も暖かい断熱技術「ウォームキューブ」を発表。これを採用した「ウェストリブ・パーカ」が『ISPO』で金賞を受賞。
- 傑作がサステナブルに進化
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数々の賞を獲得しているマスターピース「プレシップ・レインシェル・ジャケット」を、持続可能な「プレシップ・エコ・ジャケット」へとアップデート。
- 8,000mでも凍え知らず
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「ウォームキューブ」技術の搭載により「8,000メートル・スーツ」がパワーアップ。同テクノロジーを導入した「ギャラティン20°・スリーピングバッグ」が『ISPO』で金賞を受賞。
